1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」。DNA型鑑定などによって犯人とされた久間三千年(くまみちとし)は、2006年に最高裁で死刑が確定、2008年に福岡拘置所で刑死した。“異例の早さ”だった。翌年には冤罪を訴える再審請求が提起され、事件の余波はいまなお続いている。
本作は、弁護士、警察官、新聞記者という立場を異にする当事者たちが語る−−−−時に激しく対立する〈真実〉と〈正義〉を突き合わせながら事件の全体像を多面的に描き、やがてこの国の司法の姿を浮き彫りにしていく。
極めて痛ましく、しかも直接証拠が存在しない難事件の解決に執念を燃やし続けた福岡県警。久間の無実を信じ、“死刑執行後の再審請求”というこの上ない困難に挑み続ける弁護団。さらに、圧巻は事件発生当初からの自社の報道に疑問を持ち、事件を検証する調査報道を進めた西日本新聞社のジャーナリストたち。その姿勢は、マスメディアへの信頼が損なわれ、新聞やテレビなどの“オールドメディア”がビジネスモデルとしても急速に翳りを見せる今日、たしかな希望として私たちの心を捉える。
誰の〈真実〉が本当なのか? 誰の〈正義〉が正しいのか? スクリーンを見つめる私たちは、深く暗い迷宮のなかで、人が人を裁くことの重さと向き合うことになる。
1965年佐賀県生まれ。88年に京都大学法学部を卒業後、NHK入局。一貫してディレクターとして現場にこだわり、死刑や犯罪を題材にしたドキュメンタリーやヒューマン・ドキュメンタリーを制作してきた。NHKスペシャル「母・葛藤の日々~息子が殺人犯となって一年~」(99)、NHKスペシャル〈こども・輝けいのち〉シリーズ第1集「父ちゃん母ちゃん、生きるんや~大阪・西成 こどもの里~」(03/文化庁芸術祭優秀賞・ギャラクシー賞特別賞)、ハイビジョン特集「少年院~教官と少年たち・250日の記録~」(05)、ハイビジョン特集「死刑~被害者遺族・葛藤の日々~」(11/ギャラクシー賞奨励賞)、福岡発地域ドラマ「いとの森の家」(15/放送文化基金賞奨励賞)、ETV特集「連合赤軍~終わりなき旅~」(19/ギャラクシー賞奨励賞)。『“樹木希林”を生きる』(19)で映画初監督。BS1スペシャル「正義の行方~飯塚事件30年後の迷宮~」(22)で文化庁芸術祭大賞、ギャラクシー賞選奨を受賞。23年にNHKを退局し、現在は「ビジュアルオフィス・善」に所属しディレクターを続ける。
1965年鹿児島県生まれ。87年に東京大学文学部を卒業後、NHK入局。広島局を振り出しに、ディレクター/プロデューサーとして、ドキュメンタリー番組の制作に従事している。現在はメディア総局第2制作センターのチーフ・プロデューサーとして、主にETV特集(土曜23時)を担当。プロデュースに関わった近作として、ETV特集「“玉砕”の島を生きて~テニアン島 日本人移民の記録~」(21/ATP賞グランプリ・石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞・放送文化基金賞優秀賞・ギャラクシー賞優秀賞)、ETV特集「ブラッドが見つめた戦争~あるウクライナ市民兵の8年~」(22/ATP賞グランプリ)、ETV特集「誰のための司法か~團藤重光 最高裁・事件ノート~」(23/ギャラクシー賞奨励賞)、NHKスペシャル「“冤罪”の深層~警視庁公安部で何が~」(23/ギャラクシー賞入賞)などがある。
1953年東京都生まれ。78年に日本大学芸術学部映画学科を卒業後、NHK撮影部入局。10年にNHKメディアテクノロジーへ転籍したのち、23年退社。NHKスペシャル、ETV特集などドキュメンタリー作品の撮影を手がける。代表作として、NHKスペシャル「電子立国日本の自叙伝」(91/ギャラクシー賞大賞)、NHKスペシャル「ロシア 小さき人々の記録」(00/ギャラクシー賞奨励賞)、NHKスペシャル〈こども・輝けいのち〉第1集「父ちゃん母ちゃん、生きるんや~大阪・西成 こどもの里~」(03/文化庁芸術祭優秀賞・ギャラクシー賞特別賞)。
1967年福岡県生まれ。91年に有限会社デー・スリー・プロジェクト(音響効果会社)を福岡市にて起業し、西日本でNHKの番組を中心に音響効果として携わる。02年からは東京に拠点を移し、テレビ番組や映画の音響効果を手がける。22年からフリーランスとして活動。ETV特集、NHKスペシャルのほか、レギュラー番組「日曜美術館」(76-)、NHK総合「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」(15-)、Eテレ「no art, no life」(19-)や、「豚の音がえし~BEGINが結ぶ沖縄とハワイの絆~」(12)、「ふたりのウルトラマン」(22)など。映画作品として『“樹木希林”を生きる』(19/木寺一孝監督)、『宇宙兄弟』(12/森義隆監督)。
「クローズアップ現代」(93-)や「プロジェクトX~挑戦者たち~」(00-05)やでは番組の立ち上げから携わるなど、NHKで数多くのドキュメンタリーやドラマの編集を手がける。現在は「ビジュアルオフィス・善」に所属。NHKスペシャル「ラジオ船 言論の自由号~旧ユーゴ・戦乱の地の電波戦~」(94/文化庁芸術祭作品賞)、にんげんドキュメント「光れ!泥だんご」(01/ギャラクシー賞選奨)、にんげんドキュメント「ただ一撃にかける」(03/文化庁芸術祭優秀賞)、福岡発地域ドラマ「いとの森の家」(16/放送文化基金賞奨励賞)、NHKスペシャル「詐欺の子」(19/放送文化基金賞最優秀賞)、ETV特集「連合赤軍~終わりなき旅~」(19/ギャラクシー賞奨励賞)、『“樹木希林”を生きる』(19/木寺一孝監督)、BS1スペシャル「ラストトーキョー“はぐれ者”たちの新宿・歌舞伎町」(20/地方の時代賞優秀賞)、BS1スペシャル「正義の行方~飯塚事件 30年後の迷宮~」(22/文化庁芸術祭大賞・ギャラクシー賞選奨)など。
地域 | 日時 | 会場 | 問い合わせ |
宮城県仙台市 | 2025年1月18日(土)➀10:00~、➁13:30~[20分前開場] | せんだいメディアテーク 7F スタジオシアター | 主催:仙台弁護士会 (問合せTEL)022-223-1001 |
備考:予約不要・当日受付のみ・入場無料 |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
北海道札幌市 | シアターキノ | 011-231-9355 | 上映終了 5/11(土)~5/24(金) ※5/20(月)休映 |
備考: | |||
北海道函館市 | シネマアイリス | 0138-31-6761 | 上映終了 10月4日(金)〜10月10日(木) |
備考: | |||
宮城県仙台市 | フォーラム仙台 | 022-728-7866 | 上映終了 6月21日(金)~7月4日(木) |
備考: | |||
山形県山形市 | フォーラム山形 | 023-632-3220 | 上映終了 6月28日(金)~7月4日(木) |
備考: | |||
福島県福島市 | フォーラム福島 | 024-533-1515 | 上映終了 6月28日(金)~7月4日(木) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
東京都渋谷区 | ユーロスペース | 03-3461-0211 | 上映終了 4/27(土)~6/28(金) |
備考: | |||
東京都世田谷区 | 下高井戸シネマ | 03-3328-1008 | 上映終了 9/14(土)~9/20(金) |
備考: | |||
東京都北区 | シネマ・チュプキ・タバタ | 03-6240-8480 | 上映終了 10/1(火)〜10/15(火) |
●10/5(土)10:00の回上映後:木寺監督舞台挨拶備考 *水曜定休日(10月2日、9日、16日) *日本語字幕付き上映 *音声ガイド付き鑑賞も可能 |
|||
神奈川県横浜市 | シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | 上映終了 4/27(土)~5/24(金) |
備考: | |||
神奈川県川崎市 | 川崎市アートセンター | 044-955-0107 | 上映終了 6/22(土)~7/5(金) |
備考: | |||
千葉県柏市 | キネマ旬報シアター | 04-7141-7238 | 上映終了 6/29(土)〜7/12(金) |
備考: | |||
埼玉県深谷市 | 深谷シネマ | 048-551-4592 | 上映終了 9/1(日)~9/14(土) *火曜休館 |
備考: | |||
群馬県高崎市 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | 上映終了 5/17(金)~5/23(木) |
備考: | |||
茨城県那珂市 | あまや座 | 029-212-7531 | 上映終了 7/13(土)~7/26(金) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
愛知県名古屋市 | ナゴヤキネマ・ノイ | 052-734-7467 | 上映終了 5/18(土)~6/14(金) ※火曜日休映 |
備考: | |||
静岡県静岡市 | 静岡シネ・ギャラリー | 054-250-0283 | 上映終了 5/24(金)~5/30(木) |
備考: | |||
静岡県浜松市 | シネマイーラ | 053-489-5539 | 上映終了 6/14(金)〜6/20(木) |
備考: | |||
石川県金沢市 | シネモンド | 076-220-5007 | 上映終了 6/15(土)〜6/28(金) |
備考: | |||
山梨県甲府市 | 山日YBSホール(山梨文化会館 内) | 055-231-3000 | 上映終了 7月6日(土)のみ |
【山梨放送開局70周年記念 ジャーン!FES同時開催 19XX映画祭にて】 | |||
長野県長野市 | 長野相生座・ロキシー | 026-232-3016 | 上映終了 9/13(金)〜9/26(木) |
備考: | |||
長野県上田市 | 上田映劇 | 0268-22-0269 | 上映終了 10/11(金)〜10/17(木) |
備考:休映=10/15 | |||
長野県松本市 | 松本CINEMAセレクト | 0263-98-4928 | 上映終了 10月19日(土)10:30~のみ |
備考:会場 松本市エムウイング6階ホール | |||
新潟県新潟市 | 高田世界館 | 025-520-7626 | 上映終了 9/28(土)〜10/4(金) *火曜休館・9/29(日)休映 |
備考: | |||
新潟県新潟市 | シネ・ウインド | 025-243-5530 | 上映終了 8/17(土)〜8/30(金) *火曜休館 |
備考: | |||
富山県富山市 | ほとり座 | 076-422-0821 | 上映終了 7/20(土)~7/26(金) |
備考: | |||
福井県福井市 | 福井メトロ劇場 | 0428-28-0051 | 上映終了 9/28(土)〜10/11(金) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
大阪府大阪市 | 第七藝術劇場 | 06-6302-2073 | 上映終了 4/27(土)~5/24(金) |
備考: | |||
大阪府大阪市 | シアターセブン | 06-4862-7733 | 上映終了 6/22(土)〜7/5(金) |
備考: | |||
京都府京都市 | 京都シネマ | 075-353-4723 | 上映終了 5/3(金・祝)~5/23(木) |
備考: | |||
京都府京都市 | 出町座 | 075-203-9862 | 上映終了 6月14日(金)〜7月11日(木) |
備考: | |||
兵庫県神戸市 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 上映終了 5/18(土)〜5/31(金) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
岡山県岡山市 | シネマ・クレール | 086-231-0019 | 上映終了 6月7日(金)〜6月13日(木) |
備考: | |||
広島県広島市 | 横川シネマ | 082-231-1001 | 上映終了 5/11(土)~6/7(金) |
備考: | |||
広島県尾道市 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | 上映終了 5/11(土)~5/17(金) |
備考: | |||
山口県山口市 | 山口情報芸術センター | 083-901-2222 | 上映終了 7/24(水)~8/4(日) *月・火 休映 |
備考: | |||
愛媛県松山市 | シネマルナティック | 089-933-9240 | 上映終了 6/8(土)~6/14(金) *火曜休館 |
備考: | |||
香川県高松市 | ホール・ソレイユ | 087-861-3302 | 上映終了 6月14日(金)〜6月20日(木) |
備考: |
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
大分県日田市 | 日田シネマテーク・リベルテ | 0973-24-7534 | 11/9(土)〜11/17(日) *火曜休館・11/16(土)休映 |
備考: | |||
福岡県福岡市 | KBCシネマ | 092-751-4268 | 上映終了 ★1日限定アンコール上映★ 6/13(木)のみ |
備考: | |||
福岡県北九州市 | 小倉昭和館 | 093-600-2923 | 上映終了 アンコール上映 6/1(土)~6/7(金) *火曜休館 |
上映終了:5/4(土)~5/17(金) | |||
佐賀県佐賀市 | シアターシエマ | 0952-27-5116 | 上映終了 6/21(金)〜7/4(木) |
備考: | |||
大分県大分市 | シネマ5 | 097-536-4512 | 上映終了 5/11(土)~5/24(金) |
備考: | |||
大分県別府市 | 別府ブルーバード劇場 | 0977-21-1192 | 上映終了 7月5日(金)~7月11日(木) |
備考: | |||
熊本県熊本市 | Denkikan | 096-352-2121 | 上映終了 5/17(金)~5/30(木) |
備考: | |||
宮崎県宮崎市 | 宮崎キネマ館 | 0985-28-1162 | 上映終了 5/31(金)~6/20(木) |
備考: | |||
長崎県長崎市 | 長崎セントラル劇場 | 095-823-0900 | 上映終了 7月26日(金)〜8月1日(木) |
備考: | |||
鹿児島県鹿児島市 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | 上映終了 ★アンコール上映★ 8/21(水)〜8/26(月) |
備考:*上映終了 5/16(木)~5/20(月) | |||
沖縄県那覇市 | 桜坂劇場 | 098-860-9555 | 上映終了 5/11(土)~5/24(金) |
備考: | |||
沖縄県沖縄市 | シアタードーナツ・オキナワ | 070-5401-1072 | 上映終了 8/22(木)〜9/18(水) |
備考: |
コメント
終わったことだが終わっていない。このジレンマの只中にカメラを据えた。立場も主張も異にする事件の探究者たちが、代わる代わる真実のかけらを開陳し、「終わった」と「終わっていない」が綱を引き合う。特筆すべきは、探究者たちが語る言葉のゾッとするような実在感だ。ありがちな推断、誘導、泣かせを排斥し、正義を語るに恥じない映像空間が担保されているから響くのだ。綱引きの決着はつかない。それこそが飯塚事件の真実であり、本作の志の高さを物語る。
横山秀夫作家
観ているあいだ、自分は今、とんでもない作品を観ているとの意識が、ずっと身体の内奥で駆動し続けていた。ここ数年、いや間違いなくもっと長いスパンにおいて、これほどに完成度が高く、そして強く問題を提起するドキュメンタリーは他にない。
森達也映画監督/作家
傑作という表現を使ってよいのか躊躇した。この30年間の「正義」を根底から揺さぶられてしまうのが先だからだ。でもやはり傑作としか言いようがない。
地元紙が自らを検証する姿に、最後の「エルピス」(希望)を見た思い。
プチ鹿島時事芸人
不完全さを抱えた人間という存在が人の罪を扱うという、非常に複雑で難しい問題であるというそのこと自体を映し出している映画だった。昔取材で刑事事件専門弁護士から聞いた「真実は人間の数だけある」という言葉を思い出す。自らの真実、自らの正義に寄りかかって進まざるを得なかった事件関係者たちの証言の先に見えるものを、私たちは目を凝らして見つめなければならないと思う。
佐野亜裕美ドラマプロデューサー、「エルピス -希望、あるいは災い-」
死刑囚の遺族、元捜査一課の刑事たち、弁護士たち、新聞記者たち。多岐に渡る登場人物。木寺演出はその表情を克明に切り取る。どの証言も正しいように思えてくる。飯塚事件という迷宮に迷い込んだ彼らの葛藤はきっと永遠に終わることはないのだろう。司法の女神は瞑った眼で今なお沈黙を守っているかのようである。
岩井俊二映画監督
題名は『真実の行方』ではなく『正義の行方』。
証明する手段のない事件を取り囲み、複数の関係者が持ち寄るそれぞれの真実。
二律背反する証言はやがて観る者を底の見えない螺旋へと飲み込んでいく。
問われるのは“何が真実か”ではなく、“何を信じ正義とみなすか”ということ。
私たちが思うより真実はずっと脆い。これは、もう一つの『落下の解剖学』。
ISOライター
32年前、福岡でこの事件は起きた。
容疑者は逮捕され、16年前に死刑が執行された。
ところが、最近、目撃証言のひとつが訂正された。
そう、裁判はまだ生きているのだ。
担当刑事や弁護士、取材を続けた新聞記者たち。
彼らの話を聞いていると、心拍数が上がってくる。
あと、裁判官の話と死刑執行を決定した人の話が聞けたら、
この国はずいぶん良くなる。
久米宏フリーアナウンサー
これは冤罪事件なのか? 真実はどこにあるのか? そんな目で見ているうちに、だんだん見方が変わって他人事ではいられなくなってくる。自分が捜査する立場だったら、報じる立場だったら、どうするだろう、と。立ち止まれるだろうか、向き合えるだろうか、と。
上西充子法政大学教授
歪み切った「正義」を振り回す警察捜査に、司法も科学もメディアも跪き、追随してしまった。結果として私たちは、取り返しのつかない過ちを犯してしまったのではないか−−−−そんな鋭利な刃を、この国に生きる同時代の者たちすべてに突きつける秀逸で、しかし残酷なドキュメンタリーである。
青木理ジャーナリスト
「死刑」は取り返しのつかない刑罰だ。決して誤りがあってはならない。
だが、人間はときどき間違える生き物であり、そして裁判官も人間である。
高橋ユキ傍聴人、フリーライター、「つけびの村」著者
怖い。
このやり方を怖いと思わなかった人たちがたくさんいたことが怖い。
武田砂鉄ライター
飯塚事件に関わったメディア、警察、検察。それぞれの「正義」が暴走する様子を当事者たち自らが証言する衝撃のドキュメンタリー。
最前線にいた元警察官たちが語る捜査の実情や裏側はあまりにも生々しく、それをどう受け止めるのかが観る者に委ねられる。
無実を訴え続けた久間元死刑囚の死刑執行はなぜあんなに早かったのか。突きつけられる多くの示唆とさらなる疑問から目が離せない。
長野智子キャスター・ジャーナリスト
登場するのは、現場の警察官、地元新聞記者、DNA鑑定研究者、弁護士たち。それぞれの現場で、それぞれの正義を真摯に追求する人たちだ。そこに覆いかぶさるのは、正義の行方を判断し、死刑という凶器をもった国家。今の日本の司法制度に、死刑宣告の権限を委ねることの無謀さと不条理を知るために、多くの人に見てもらいたい映画だ。
林香里東京大学大学院情報学環教授(メディア・ジャーナリズム研究)、東京大学理事・副学長